ファクタリングとは?

借り入れとは違う新しい資金調達方法として、多くの企業様がご利用されているファクタリングについて詳しくご説明していきます。

ファクタリングとは「企業様(御社)が保有している売掛金をファクタリング会社(ファクター)が企業様に対して償還請求権無しで『完全に買取する』ことで、売掛先の支払サイトの期日前にお支払いして企業様に資金を提供する仕組みのこと」で、ファクタリングの方法には、2者間と3者間の契約形態があります。

【2者間ファクタリング】


2者間ファクタリングは、契約・取引はお客様のみと行ないます。お客様の取引先(売掛先)へは一切通知せず、信用調査のみを行ないます。取引のポイントとしては、買い取った売掛金はお客様にて回収いただき、弊社に引渡しするお取引となります。

メリット :取引先(売掛先)に通知されない

【3者間ファクタリング】


お客様は売掛債権の素早い現金化が可能となります。本来の入金期限がくると、取引先(売掛先)はお客様ではなく弊社に入金を行います。
3者間ファクタリングは、お客様と弊社が取引先(売掛先)に対してファクタリングを利用することを通知し、弊社が売掛債権を買い取ります。

メリット :2者間取引より手数料が安い

 Check! 

ファクタリングは、通常「お客様・売掛先(取引先)・ファクタリング会社」の3者間で行われます。売掛先から承諾を得て資金提供が行われ、その後は売掛先から直接資金を回収する仕組みです。
一方で、売掛先への通知を行わずに「お客様とファクタリング会社のみ」で契約を希望される場合は、2者間での取引形態を選択いただくことも可能です。

経済産業省も推奨


政策背景と法制度整備によるファクタリング環境の改善

日本においても、ファクタリングは中小企業の資金繰り改善を支援する有効な手段として位置づけられつつあります。経済産業省が公表する資料や解説記事においても、売掛債権を活用した資金調達は、従来の銀行融資に依存しない柔軟な方法として紹介されており、特に中小企業にとって大きな役割を果たすことが期待されています。

この背景には、近年の法制度の整備が大きく寄与しています。

1.民法改正(2020年施行)

2020年に施行された民法改正により、債権譲渡に関するルールが見直されました。

従来は契約に「譲渡禁止特約」がある場合、債権を譲渡できないとされるケースが多く、ファクタリングの普及に障害となっていました。

改正後は、譲渡禁止特約があっても、債権譲渡自体の効力が否定されなくなり、ファクタリングを含む債権譲渡取引の実務が大幅に円滑化されました。

これにより、企業が売掛債権を資金調達に活用しやすい環境が整備されました。

2.下請代金支払遅延等防止法(下請法)の運用見直し

下請法においても、売掛金の支払や譲渡に関する透明性を高める方向での見直しが行われています。

これにより、下請企業が保有する売掛債権の流動性が高まり、ファクタリングを通じた資金調達が安心して行いやすくなりました。

3.政策的な推進姿勢

経済産業省や中小企業庁の発信では、ファクタリングを「中小企業の資金繰りを支援する手段の一つ」として積極的に紹介しています。

銀行融資以外の資金調達手段を広げることは、金融リスクの分散や経営の柔軟性向上に直結するため、政策的にも後押しが続けられています。

国際比較から見る日本の立ち位置(2024年度)


国名ファクタリング取扱高
(日本円換算)
ファクタリング取扱高
(単位:億USD)
名目GDP
(単位:億USD)
対GDP浸透率(%)
中国111兆2202億円7,346.78187,4003.92%
フランス70兆6602億円4,667.5431,60014.77%
ドイツ65兆1924億円4,306.3646,6009.24%
イギリス61兆9127億円4,089.7236,40011.24%
イタリア48兆9005億円3,230.1823,70013.63%
スペイン43兆6775億円2,885.1721,40013.48%
オランダ25兆7229億円1,699.1617,2009.88%
ベルギー22兆7043億円1,499.767,64019.63%
ポーランド18兆561億円1,192.726,89017.31%
日本10兆7452億円709.7940,3001.76%

・日本のファクタリング取扱高は 推定656億EUR(約709.8億USD)、名目GDPは 4兆300億USDであり、対GDP比1.76%

・ 欧州各国(フランス14.8%、ベルギー19.6%、ポーランド17.3%など)と比較すると、日本は未だ低い水準にとどまっている

(本表は、FCIおよびIMFが公表するデータを参照し、株式会社NIDが独自に整理・加工して作成しています。)

引用元:

FCI(Factors Chain International)

IMF(World Economic Outlook Database, 2024)

EUR/USDは2024年平均為替レート1.082ドルで換算

EUR/JPYは2024年平均為替レート163.8円で換算

欧州でファクタリングが広く浸透しているのは?


商習慣:売掛債権を早期資金化する文化が定着。

中小企業を含む幅広い層が利用。

経済環境:銀行融資よりも迅速・柔軟な資金調達手段として普及。

経済危機や不況時にも運転資金安定化策として重要。

法制度:EU諸国では債権譲渡の法的枠組みが整備され、透明性・信頼性が高い。

信用調査インフラの発達も背景。

日本市場の成長ポテンシャル


・現状、日本では「ファクタリング=特殊な金融商品」との認識が強い。
・実際には欧州先進国で標準的に活用されている普遍的な金融サービス。
・今後の拡大要因:中小企業の資金繰り多様化需要、銀行融資に依存しない資金調達手段への期待、法制度整備による安心感の向上。

様々な要因がありますが、ファクタリングは日本でも今後さらに利用が拡大し、信頼できる資金調達手段として定着していくと思われます。欧州の実績が示すように、日本でも一般的な金融サービスとして認知され、安心して取引できる環境が整っていくことでしょう。

株式会社NIDは、こうした流れの中で、経営者の皆さまにとって安心と信頼をお届けできるパートナーであり続けたいと考えています。お客様の成長とともに歩み、健全なファクタリング業界の発展に貢献できるよう、今後も誠実かつ確実なサービスを提供してまいります。